最近の日記

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3月1日
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本の整理と自己形成プロセス 03
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本の整理と自己形成プロセス 02
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本の整理と自己形成プロセス
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南洋堂のお店での日々の出来事や、
本についてのあれこれなど、店員の声をお届けします。


  23/03/01 Wednesday   1131   


 3月1日

翻訳者の友人に万葉集が面白いと聞き、さっそく
現代語訳を読み始めました。世の中を分離させる
言葉遊びやそれを誤った捉え方で広める人・道具
が広まった現代におかれましては、ひとまず歌の
一つでも詠んで己の頭をリセットしてから状況判
断したいものですね。いかがお過ごしでしょうか。

今日は3月1日でマヨネーズの日なのですが、日本
初の女性一級建築士である浜口ミホ氏の誕生日で
もあります。著書「日本住宅の封建性(1949)」
は、戦後日本の住宅設計論として外すことのでき
ない本ですので、どこかで必ず読んでください。
彼女の生きた時代は男尊女卑・家父長制度・格式
主義がまだまだ幅を利かせており、現在とは全く
異なった次元の闘いであったことは想像に難くあ
りません(もちろん現代にもその名残がそこかし
こにあり、別の課題も山積みでありますが)。

ところでミホ氏は戦後日本のDK開発においてステ
ンレス流し台の普及に一役買った人物としても知
られています。のちにシステムキッチンへと進化
するステンレス流し台がどれほど女性たちを精神
的・肉体的に救ったかと思うと、やはりその存在
は偉大です。そんな彼女の口癖は、「私は弱者の
悲鳴を聞く建築士。私の設計は賞はとれないよ」。
有限実行の人、素敵です。

ミホ氏自身はめったに台所に立たなかったとはい
え、たまに作ると味は美味しく、飾り付けは見事
なものだったとのこと。後半部分をのぞけば彼女
とは大変気が合いそうです。


画像1 

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  22/12/29 Thursday   1130   


 本の整理と自己形成プロセス 03


弾性力といいますか反作用といいますか、元の姿
に戻りたくなるのが自然の本能でありますが、主
を大方失いどこか寂しく見える本棚に、毎年四月
になると送られてくる大量のテキストを並べてみ
たりしても何かこう、しっくりとこないものです。
やはりそこには自発的かつ自然発生的に選ばれた
本が入るべきです。それと同時に、これら本棚を
私は建築的に捉えるべきなのではないかと、はた
と気がつきました。まず手始めに穿孔作業からは
じめました。棚の背面に孔を開けていくと何の変
哲もない四角い棚は周囲の環境を取り込みながら
刻々と変化する様相が見えがくれ、いえ埋蔵され
るに至りました。さらにその向こうには5次元空
間が広がっており、宇宙飛行士だった父が向こう
から覗いているなんていうインターステラーな事
態です。いえ実際うちの父は柳田國男の孫弟子だ
ったんでした。つまり本棚の向こうには、平地人
(俗物のことです)を戦慄せしめる物語が広がっ
ているのです。山から里、里から家、家から本棚
と、見えないエンクロージャーが現れては消え、
その情感のこもった空間にそれ自体を文節する機
能を付け加えることにしました。続く

さて、本年もお付き合い頂きありがとうございま
した。どんな年だったかと振り返ると新しい発見
が色々とあったような気がします。それを来年に
活かす準備として年末はじっとしていようと思い
ます。
皆様もどうぞ良いお年をお迎えくださいませ。



written by SN  


  22/11/18 Friday   1129   


 本の整理と自己形成プロセス 02

とはいえ温暖化の気配が漂う秋の訪れと、無職で
あれば迷わずハイキングに繰り出したくなるよう
な晴天を満喫している日々ではありますが、いか
がお過ごしでしょうか。

そうこうしているうちに、配送業者が悲鳴をあげ
るに違いない重さと大きさの箱が40箱ほど出来
上がりました。そのうち10箱ほどは南洋堂行きと
なります。自分がこんなにも建築の本を持ってい
た事実に驚きを隠せません。また建築書の選り分
け作業に際して特に興味深かったのは、この人の
本は取っておこう、という対象の中には意外な人
物が含まれていたりすることです。自身の深層に
ある心持は、実はそれほど表面化されていないも
のなのだなァ、とここでまた一つ教訓を得ること
ができました。

今回の整理では興味の対象を絞り込んでいるつも
りが、実際そう簡単にはいきません。「一応とっ
とくか」という新たな壁、心の隙間、要するに己
の弱さを露呈する瞬間が頻繁に訪れるのです。こ
の「一応」という小悪魔の所業により、捨てるは
ずだった本棚の一つが埋まってしまったほどです。
新たなブックライフステージへの道は、白黒つけ
られない(人間味あふれる)様相を見せながら、
スタートを切ることになりそうです。
つづく



written by SN  


  22/11/05 Saturday   1128   


 本の整理と自己形成プロセス

無情にも冬の訪れを予告されているような肌寒い今
日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。
私めといえば最近、30年ぐらい溜め込んだ本の整理
をすることに決めました。するとどうでしょう。
人生の折り返し地点ともとれる年齢となったところ
でのこの決断は大変に功を奏する気がしています。
なぜなら、本の整理はこれまでの志向/思考の軌跡
を振り返ることそのものだからであります。これを
終えたら次のブックライフステージへと向かうわけ
で、それは新たな自分との出会いであります。
何もかもを貪欲に受け入れようとしていたこれまで
の人生も悪くはありませんでしたが、この決断によ
ってより明確な自己とその向かう道(精神的な)が
得られるような気がして、それはまるで一ページ目
の数行を読んで良い本だと確信できた時のような、
うれしい予感に満ち満ちています。
しかしながら、悪癖である本のカバーを取り外す行
為は効率的にまったく功を奏しているとはいえませ
ん。もはや何冊とも数えられない本のカバーと裸本
をマッチさせる段階でその作業に永遠性を見ました。
命からがらその永遠が終わったところで、カバーの
みが残っていたり、裸本だけが残っていたりする惨
状を目の当たりにしました。何事も、どうしても相
容れない関係性があるものだなァ、そんな教訓をひ
とまず得たところです。 つづく



written by SN  


  22/09/14 Wednesday   1127   


 TP

真夏のような日差しと秋の訪れを告げつつある風が
交互にやってきていかにもな九月も半ばとなり、気
分一新とまではいきませんが新しい特集をはじめよ
うという気分にもなったもので、いかがお過ごしで
しょうか。

今回のテーマは「アーツ・アンド・クラフツ」。
結局のところジョン・ラスキンからのウィリアム・
モリスという王道すぎる流れに相成りました。
 ミニマルな生活スタイルが流行ったこともありま
したが、その一方で只のトレンドで終わらなそうな
「ロングライフデザイン」が息づく今日の状況を顧
みますと、人間らしい生活(ひいてはその妥協点)
を考えさせられます。アーツ・アンド・クラフツ運
動の凄みは、当時のグローバル展開(もちろん英国
内も)、そしていつの時代にもそこに立ち戻りたく
なるような理念のその永続性ではないでしょうか。
後の歴史を知れば知るほど、これはきっかけの一つ
に過ぎなかったのか?それとも、「現代的なるもの」
の何もかもがここから始まってるのか?と謎が謎を
呼ぶ迫力満点の展開となってくるのであります。ひ
とつのアイデアが散らばり、それを受け取った人々
に取り込まれ、一部を採用されたり、それに抵抗さ
れたり、なんだか独自すぎる事になったりと、行く
先々で起こるドラマがいまのデザイン・建築に繋が
っているのだと思うと胸が熱くなる思いであります。

なんていってたら、こういう展覧会が始まるような
ので、チェックしにいこうかと思います。





written by SN  



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