村野藤吾設計の世界平和記念聖堂は、戦後の建築としては初めて広島平和記念資料館とともに国の重要文化財に指定された。広島の被爆と復興過程を刻み、安息と世界平和を祈り、それを考えるための建築である。本書は平和への切なる願いをこめて建設された聖堂、その建設の過程と存在の意味を改めて考える。
■目次 ・はしがき ・第一章 天守公教会時代 前史 キリスト教と広島/被爆までの広島カトリック教会 ・第二章 被爆と記念聖堂建設の企画 被爆/被爆後/記念聖堂建設の決意/初期の募金活動/ ・第三章 記念聖堂の設計 競技設計(コンペ)/要求された設計内容/敷地のこと/コンペと入選案/コンペをめぐる諸問題とその結末/村野藤吾の設計/設計における主要な傾向/設計された記念聖堂/構造計画・設計のこと ・第四章 記念聖堂の建設とその苦難 着工/工事中断/募金活動と工事再開/施工過程での工夫や苦労/竣工まで/正式名称の成立過程 ・第5章 完成した記念聖堂 献堂式/寄贈された品々/完成した記念聖堂の建築/記念聖堂と年月の経過/記念聖堂をめぐる特徴/記念聖堂の評価に関連して ・第6章 補修計画と補修工事 補修への動き/補修の必要性とその原因/補修工事/蘇った世界平和記念聖堂 ・終章 結びにかえて ・あとがき ・再販にあたって
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