床の間のある家に住みたいという日本人は多いだろう。日本の住宅の象徴といわれる床の間は、いつ、どうして成立し、どのように変化してきたのか。日本建築史学の権威が、厖大な文献・遺構の研究に基づいて気軽に物語る。床の間の前身は中世の押板だった、客が床の間を背に坐るのは後の慣習、など興味深い話題はつきない。
■目次 ・はじめに ・1 押板 床の間の前身 床の間と押板の違い/押板はいつできたか ・2 住宅平面の変化 板敷から畳敷へ/母屋と庇/母屋・庇構成の崩壊 ・3 押板はどのようにしてできたか 押板仏壇起源説/仏壇起源説への疑問/宋元画の伝来/絵画鑑賞形式の変化 ・4 接客空間の独立 会所の発達/唐様飾の流行/違棚/付書院/上段 ・5 押板から床の間へ 押板・床・床の間/床の間は上段の変化したもの/中世における床の意味 ・6 茶室の成立と床の間 草庵風茶室の成立/数寄屋風書院造の発生 ・7 床の間の性格の変化 座敷飾の定型化/格式としての床の間 ・8 現代における床の間 ・あとがき
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