外来異文化の受容とその日本的変形過程を和様化と捉え、建築における「日本的なもの」について考察。戦中戦後の建築言説のイデオロギー的倒錯を批判するとともに、「間」という独創的な方法論的「時空」論を提起する。情報化とマネー資本主義的活動が地球規模で繰り広げられる今日、そこに組み込まれることなく、新しい「建築」(アーキテクチュア)の展開を可能にする「間」概念の豊かな可能性を示唆。本書は、建築と都市を架橋しつつ偏狭な時代性や場所性を突き抜けるべき手法を問う、新しい「文化論」である。
■目次 ・反回想5 「わ」の所在 磯崎新 ・I メビウスの輪=倭=和=「わ」 和様化と外部 ・II 世紀末のカルチュラル・ターン 「退行」と「擬態」 <やつし>と<もどき> ・III 加算と減算 両性具有の夢 ヴィラ・アドリアーナ 排除の手法 ル・トロネ修道院 ・IV アンビギュイティ 闇に浮かぶ黄金 サン・ヴィターレ聖堂 桂 その両義的空間 ・V 振舞う身体 ユカの現象学 坐の文化史 ディオニュソス 「テアトロ・オリンピコ」と「楕円堂」
・解説 中谷礼仁
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