本書は、華僑が南洋に拓いた華人街や、植民地都市における華人居住地の特徴を明らかにするなか、華人街の形成原理を探る意欲的な都市史である。大航海時代の海域交易路の発展に伴い誕生した南シナ海沿岸の港市を鳥瞰する独特の視点で、今日アジアを代表する都市に成長した街で華人たちが果たした役割、作り出した空間を説く。 ■目次 ・はじめに 海の時代へ ・一章 海域アジアにおける居住地の成立 アジアの都市文明/外国人居住地の形成/南洋華人街の成立背景 ・二章 華人街の空間構成 自然発生的な漁村・港町 珠江河口の島々/現地王国の外港 広南阮朝ヴェトナム/内陸都市から交易都市へ チャオプラヤー川沿い/交易指向の都市 マレイ半島沿岸/独立した交易居住地 ボルネオ島 閉鎖的な居住地 ジャワ島/ 消失してしまった華人街 フィリピン諸島/都城外の河岸に拓かれた居住地 福建省沿岸 ・三章 華人街の構成要素 寺廟 華人たちの神々/宗廟 故地との結びつき ・四章 華人街の都市住居 四合院と小さな街屋 中国南部の都市住居/奥行きの深い街屋 南洋華人街の都市住居/規格化された街屋 植民地都市内の華人街屋 ・五章 植民地支配とチャイナタウン 街路の景観の整備 庇と連続歩廊/居住改善事業 上下水道と公衆衛生 ・六章 華人街の現在 信頼の商売/飲食の商売/観光資源と文化遺産 華人街の今後 ・おわりに ・参考文献 ・海域アジアを中心にした世界史年表
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