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「静寂の音 Sound of Silence」出版記念展:堀部安嗣の3つの家と3つの本
2005年02月12日-2005年04月09日

2005年1月に「静寂の音 Sound of Silence」が発行された。この本は堀部安嗣が設計した集合住宅「アビターレ玉川田園調布」の建築と,そこにおかれた尹煕倉の美術をまとめたもの。当展ではその出版を記念して,堀部がこれまでに設計した3つの住宅「伊豆高原の家」,「軽井沢の家」,「アビターレ玉川田園調布」を展観した。会場の主要壁面には,写真や図面,堀部と批評家の言葉がパネル展示され,その前には,それぞれの家を象徴する1/100の木製模型と3冊の私家本「memento mori」,「時の居場所」,「静寂の音」が併置された。またもう1つの壁には,アビターレのタイル見本と尹氏の彫刻が,カウンターには,DVD映像とともに,閲覧用の青焼図面や関連書籍が配された。N+の小さな空間と響きあいながら,堀部氏の濃密で奥深い世界が,静かにたち現われた2ヶ月だった。


[ギャラリー・トーク]

「アビターレ玉川田園調布」の普請に深くかかわった堀部,尹,施主で住み手の木下壽子。その3人が,司会に『コンフォルト』編集長の多田君枝を迎え,それぞれの立場から,その顛末と空間への思いを率直に語った。また会の後半では,堀部の3冊の私家本を企画した森桜も加わり,建築や美術における本の役割やその可能性を探った。5人のものをつくることへの真摯な思いに,30名の聴衆が静かに耳を傾け,ときに熱く語りあう会であった。


[お詫び]当会には,160名を超えるお申込みをいただきました。感謝とともに,多くの方々にご参加いただけなかったことを心よりお詫び申しあげます。







堀部 安嗣(ほりべ・やすし)
建築家,堀部安嗣建築設計事務所主宰,東京理科大学非常勤講師,1967横浜市
生まれ,1990筑波大学芸術専門学群環境デザインコース卒業,1991-1994益子
アトリエに勤務,2002第18回吉岡賞を受賞。近年の設計作品に「八ヶ岳の家」
(長野),「府中の家」(東京),「ひたちなかの家」(茨城),「逗子桜山
の家」(神奈川),「由比ケ浜の家」(神奈川)/以上2004,「那珂の家」
(茨城,2005)。

尹 煕倉(ユン・ヒチャン)
美術家,多摩美術大学非常勤講師,1963兵庫県相生市生まれ,1988多摩美術大学
大学院美術研究科修士課程修了,1995-96文化庁在外派遣研修員としてロンドン
に滞在,1997英レスタシャーのラフボロウ美術大学および煉瓦工場で滞在制作。
近年のアートワークに「兵庫大学」(設計:竹中工務店/柏木浩一,2001),
「プラウドジェム市ヶ谷」(設計:渡辺真理,東京,2003),「南麻布5108」
(設計:アシハラヒロコ,東京,2003),「アビターレ玉川田園調布」(設計:
堀部安嗣,東京,2003)。

木下 壽子(きのした・としこ)
株式会社アビターレ代表,1969神戸市生まれ,1993日本女子大学家政学部住居
学科卒業,1995芝浦工業大学大学院修士課程修了,1996ロンドン大学大学院
修士課程修了,1996-97ロータリー財団国際親善奨学生として英グラスゴー大学
マッキントッシュ建築学校で研究。主な編集に「20世紀のモダンハウス:理想
の実現」(『a+u』2000臨増)。アビターレによる建築の企画・管理に「表参道
テラスハウス」(改築設計:堀部安嗣,東京,2002),「アビターレ玉川田園調布」
(設計:堀部安嗣,東京,2003)。

□展覧会協力
写真提供 齋藤さだむ,梶原敏英
模型制作 梅原佑司
図面提供 堀部安嗣建築設計事務所
デザイン 北川一成,松本悟史/グラフ(案内状,本,ポスター)
展示協力 熊澤安子/遊住舎,織部製陶,松隈 洋
企画協力 森 桜/森オフィス